最近よく聞くDAOって一体何なの?
「DAO=自律分散型組織」の具体的イメージを理解したい。
DAOについてネットで調べてみても、専門用語ばかりでよく分かりにくいですよね。
それでも「DAO」は今注目の概念なので、ぜひとも理解しておきたい言葉だと思います。
本記事では専門用語なしで、DAOとは何か、そしていま注目されている理由をわかりやすく解説していきます。
DAOはなぜ今注目されているのか?
DAOとは小難しく言えば、「未来型の新しい組織のカタチ」のことです。
具体的にもっと分かりやすく言えば、
のことを指します。
いまいちピンとこない方は、例として「ゲームアプリを開発・販売する会社」をイメージしながら以降の解説を読んでみてください。
一般的な会社組織とDAOの違い
一般的な会社は、基本的に下記のような特徴があります。
- 会社の目的は(ゲームを通じて)利益を出すこと
- 社長というリーダー役がいる
- 社員は信用のおける者(身元が明確な者)だけ
- 会社の経営状態は、上層部のみが把握できる
しかしDAOとして会社の場合は、わかりやすく言えば、このような違いがあります。
- 会社の目的は(ゲームを通じて)社会に貢献すること
- 社長はいなく、社員全員が同じ立場で経営をする
- 各社員の身元確認をしなくてよい
- 会社の経営状態を世界中の誰もが見られる
ただ、こんな話を聞けば、普通の人はこう思うはずです。
これまでは誰もがそう思ってきました。
しかし、最近こうした会社運営のやり方が現実味を帯びてきたからこそ、DAOは注目を集めているんです。
DAOとは結局何なのか?わかりやすく言えば何がすごいのか?
その答えを簡単にわかりやすく言うならば、それは、
ソフトウェアの技術によって、先ほど紹介したDAOの4つの特徴を実現できるためです。
では具体的にどんなことが実現できるのか、見ていきましょう。
1.社長が必要なく、社員だけで経営ができる
DAO化した会社では、プログラムが社長の代わりに組織を運営します。
社員は、下記のような会社の経営方針やルールを勝手に変えることはできません。
- 経営ルール
- 社員が守るべきルール
- 社員に支払われる報酬(給料)の金額や条件
会社の存続に関わるような重要な意思決定のみ、全社員の投票で経営方針を変えていきます。
つまり、わかりやすく言えば、DAOとしての会社の大きな特徴は、
「人間にできるだけ権限を与えない」
ということです。
こうすることで、一人の人間(ワンマン社長など)によって、
- 経営方針が大きく左右される
- その人が突然いなくなることで経営が立ち行かなくなる
- 勝手に会社の資金を持ち出されたり使われたりする
こうしたことを防ぐことができるわけです。
2.不正や隠ぺいがない経営ができる
普通の会社では社内に独裁的な人がいると、どうしても、
- その人だけに会社の重要情報が握られてしまう
- 情報を改ざん・隠ぺいされてしまう
こうしたリスクが払拭しきれません。
DAO化した会社では、社内の情報はソフトウェアの技術によって厳格に管理され、全社員が把握できるようになっています。
実はこの仕組みのおかげで、社員が容易に改ざんや不正行為ができないようになっているわけです。
3.上司に指示されたり許可をもらったりする必要なく、仕事ができる
普通の会社では、仕事は基本的に上司から与えられて行うものですよね。
そうでなかったとしても、何か仕事をしようと思ったら、上司の許可が必要になるものです。
しかし会社がDAO化すると、仕事は自分から挙手をして提案し、積極的に行っていくものになります。
また前もって必要な作業が決まっている仕事の場合は、決まった報酬を提示することで、世界中から社員を応募できます。
DAOの仕事はソフトウェアの技術によって改ざんや不正行為ができないようになっています。
そのため、会社は新たに加わる社員の身元確認をせずとも仕事を安心して任せることができるわけです。
4.公平に報酬を配ることができる
実はDAO化した会社には、働いた分の対価として払われる「給料(現金)」というものがありません。
その代わりに報酬として「その会社独自の仮想通貨」が渡されます。
しかしその仮想通貨は、会社が軌道に乗るまではお金に替えられるような価値がないため、実質タダ働きとなってしまいます。
ただ会社が成長して社会に貢献できるようになると、組織としての知名度が上がり、その仮想通貨を欲しがる人が社外に増えてきます。
すると結果的に、その会社独自の仮想通貨に値段が付くようになり、価値が上がります。
わかりやすく言えば、この仮想通貨が実質的な給料になるわけです。
社員の働く目的は社会貢献
DAO化した会社で働く社員の報酬は、活動の成果によって増えていきます。
だからこそ、
と思えるわけです。
普通の会社では業績が伸びたとき、基本的に報酬の大部分を得られるのは会社の株主や上層部の人のみです。
これは公平とは言えない仕組みですよね。
そしてそこで働く社員は、給料のために働きます。
しかしDAOの会社で働く社員は、目先の給料ではなく、社会貢献できることに重きを置きます。
報酬はあくまで活動の対価の一部という認識のため、そもそも仕事をするモチベーションや情熱が違うわけです。
会社のDAO化が「働く」ことの定義を変えていく
近い将来、たとえ少数でもDAO化した会社が存在する世界では、きっと働くことへの価値観や考え方が変わる人が増えていくと思います。
現在、就職活動をする場合にはほとんどの場合、
- 「どうすれば良い会社に就職できるか」
- 「どの業界や企業が一番給料や福利厚生が充実しているのか」
といった基準で仕事を選ぶことが一般的です。
しかし将来は、
- 「今の自分のスキルなら、どの会社のどんな仕事に貢献できるか」
- 「どの会社が一番社会に貢献できそうか」
こうした基準が働く上で重要視されるようになるかもしれません。
DAOについてより深く理解していくためには
ここまでわかりやすく解説するために、専門用語を使わずに説明をしてきました。
しかしDAOを本当の意味で理解するためには、DAO以外のことを知る必要があります。
それはDAOを実現する技術には、最近話題の仮想通貨やNFTでも使用されているブロックチェーンや分散台帳の技術が密接に関わってくるためです。
焦っていきなり全てを理解しようとせず、少しずつ知識を広げていきましょう。